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長崎源之助さん生誕100年記念企画展

みやこ町図書館ギャラリーでの企画展


絵本『ひろしまのエノキ』(童心社) を書いた長崎源之助さん(1924.2.19- 2011.4.3)は、2024年2月に生誕百年を迎 えます。自宅のある横浜で は、神奈川近代文学館で生誕百年記念のイベントに向け て準備が進んでいます。
犀川小とも縁のある絵本『ひろしまのエノキ』では、原爆をうけ、生き残ったエノキの木と、そのエノキを平和のシンボルにと、守っていく広島基町小の子どもたちの姿を描きました。
この絵本と関連本の『平和の木』(童心社)が出版されたことで、基町のエノキは、一気に知名度が高まり、全国から多くの小・中学校が修学旅行で陸軍病院跡地のエノキに会いに行ったり、基町小と交流をもったりするようになりました。また、熱心に取り組む学校からは二世の木を譲ってほしいとの声もあがるようになりました。
そもそも長崎さんが「ひろしまのエノキ」を執筆するきっかけになったのは、福田安次さんが朝日新聞に投稿した記事「苦闘しています被爆エノキ」を目に留めたことによります。
この投稿が『ひろしまのエノキ』出版のきっかけということが明らかになると、修学旅行での現地学習で福田さんに講話・案内を依頼するケースが増えました。 また、福田さんは広島市から委託され、心ある学校へ平和の木二世の植樹に取り組むようになったということです。

折り鶴が運んだ「平和の木」植樹25周年記念事業

原田真二/永井龍雲ピースコンサート(折り鶴が運んだ「平和の木」プロジェクト実行委員会より)


このコンサート開催のきっかけは、犀川小学校にある「平和の木」植樹に至るストーリーにあります。当時の新聞記事や人づての情報で、それまで断片的だったストーリーが、ひとつながりとなればなるだけ、このままにしておくのはもったいないという気持ちになりました。
また、このコンサートは昨年度の植樹25周年記念集会に向けて永井龍雲さんと原田真二さんに作っていただいた楽曲「PEACE-平和の千羽鶴」を披露するというねらいもありました。昨年12月、集会直近になり、コロナの感染状況が悪化ししたため、永井龍雲さんを招くことを断念しました。しかし、できるだけ多くの人でこの歌の意味や価値を共有したいという気持ちがあり、改めて「平和」を願うコンサートができないかと、ある友人と話し合い、さしあたり二人でコンサートづくりを始めました。
実行委員会としては、このコンサートをきっかけに、一人でも多くの方が人と人とのつながりの大切さや平和への思いを確かめることができ、その思いを灯々無尽、周りの誰かに広げることができればと願っています。
コンサートに参加・協力してくれた方から 感想をいただいたので紹介します。
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素敵なコンサートを企画して下さって、ありがとうございました。あの後、二人の曲を 聴きながら家事をしています。
植樹のストーリーが 素晴らしく、映像もよ かったです。 永井龍雲の歌もいいし、原田真二は少しはしゃいでいたけど、相変わらず歌は上手い。シニア層にも平和の千羽鶴の歌は染みたかも。この時期、様々な平和メッセージが発信される中、みやこ町のストーリーが広く伝わるよう願っています。お疲れさまでした。
企画から準備、片付けまでいろいろとお疲れさまでした。永井さんと原田さんの歌、初めて聞きました。特に永井さんはみやこ町では有名ということは知っていましたが、聞いたことがな かったので。 またいつでも声をかけてください。
とにかく、中尾先生と福田さんの歴史がすごい。毎日一通のハガキ、深い思いがなければできない。ぜひ後世に伝え続けたい事実ですね。 また、永井龍雲さんのきれいな声は懐かしく、母を思って歌う歌は心に響き、ジーンときました。

記念集会2022.12.10

 実際の植樹記念日が12月19日であることは、町の書庫に眠っていた鐙畑小学校のアルバムから判明しました。でも、記念集会は、関係者が集まりやすいよう10日(土)に計画をしました。
 集会は3部構成とし、第1部「ナガサキから」では修学旅行で訪れたナガサキについて、事前学習で学んだことや語り部の方の話・現地の資料館や遺構から学んだことを再構成して6年生が発表しました。大きな柱は5つで『「ひろしまのエノキ」・「ぞうれっしゃがやってきた」のこと』「平和公園・資料館のこと」「語り部さんのこと」「山王神社のクスノキのこと」「犀川小学校平和宣言のこと」でした。また、傷つきながらも大きく成長した山王神社のクスノキには、訪れた人は皆、その生命力の強さに感動を覚えるところですが、福山雅治さんがこの木を讃えてつくった曲「クスノキ」が8年前に発表されました。この度の記念集会では、地元で活動されている、みみずく合唱団さんにこの「クスノキ」を合唱していただきました。
 第2部「ヒロシマから」では、エノキつながりで情報を共有している広島市立基町小学校さんや「ひろしまのエノキ」の作者・長崎源之助さんと深い交流のあった方、植樹のきっかけをつくった旧鐙畑小学校の中尾先生のご家族にメッセージをいただきました。
 基町小学校さんからは、同じくエノキ二世を育てる学校として連帯のメッセージと、基町小と長崎の坂本小が一緒に作った楽曲「レインボー〜ピースをつなげて〜」を紹介していただきました。
 長崎源之助さんゆかりの方からは、交流のエピソードや自分自身の生き方と大きく関わったこと、一緒に作った絵本「汽笛」のことを紹介していただきました。その中で長崎源之助さんが遺した言葉としてふれられた「一番こわいのは人間の忘れっぽさ」というフレーズが、子どもたちの心に残ったようでした。
 中尾先生のご家族からは、エノキ植樹に至った経緯や広島の福田さんとの家族ぐるみの交流があったこと等、ご家族の30年の歴史がつまったお話を紹介していただきました。子どもたちは、遠方からわざわざ集会のためにきてくださったことに深く感謝していました。
 第3部「平和のリレー」では、合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた」を集会用にダイジェストにした呼びかけと歌に取り組みました。このお話は、名古屋の東山動物園で戦中実際にあったストーリーを合唱構成にしたものです。ぞうを守りぬいた人々の苦悩や努力、平和を待ち望んだ子どもたちの素直な思い、子どもの願いを実現するために重ねた様々な人々の努力。「いのち」を守りぬいたリレーを全校みんなで再現しました。
 平和のかぎわたしでは、この節目の取組を「かぎ」として次の学年に受け継いでいく場作りとしました。かぎを受け継いだ5年生からは、「6年生の発表を聞いて平和の大切さをより感じました。これからも平和の木を大切に守っていきます。」と力強い言葉を聞くことができました。

楽曲制作 PEACE-平和の千羽鶴

 記念集会第2部ヒロシマからでは、エノキ植樹にかかる一連のストーリーを楽曲にまとめた「PEACE―平和の千羽鶴」が披露されました。  この楽曲は、犀川小学校に「平和の木」が贈られた経緯を再話する中で、エノキの説明板には書かれていない数々のエピソードに感動した学校関係者が、 一連のストーリーを歌にできないかと、みやこ町出身のシンガーソングライターにリクエストしたことがきっかけで誕生しました。
 楽曲を手がけてくださったのは、犀川小学校統合にあたり、校歌を提供してくださった永井龍雲さんです。令和3(2021)年9月にリクエストしたことに応えてくださいました。
   また、人づてに相談した広島のシンガーソングライター原田真二さんが、楽曲の作曲を受けてくださることになり、福岡(犀川)と広島を結ぶ架け橋となる楽曲が誕生することになりました。
 新聞報道によると、原田さんは「平和の木のストーリーには今こそ最も必要な、命を大切にしていこうというメッセージが強く込められていると感じた」とコメントをくださっています。
 さらに、永井さんも「自分が詞を書き、原田さんがその気持ちを受けて曲をつけてくれることは、折り鶴を通して生まれた出逢いが時代を超えて、今ここにある縁を感じる」と話されたということです。
 現段階では、このサイトで公開することはできませんが、多くの人にまず知っていただいて、折り鶴が運んだ「平和の木」とともに大事にしていきたいと心から願っています。
○原田 真二さん
 かつて「キャンディ」「タイム・トラベル」などのヒット曲で一世を風靡。被爆地・広島出身であることから平和活動にも携わっています。2013年には国連本部の国際平和会議に招かれ、広島から世界平和を呼びかける「ひろしまからはじめよう」を披露。環境保護や「心のやさしさ」をテーマにしたチャリティー活動にも力を入れていれています。
○永井 龍雲さん
 CM曲にもなった「道標ない旅」などがヒットし、89年には五木ひろしさんが歌った「暖簾」で第22回日本作詩大賞の優秀作品賞を受賞しました。 令和4年11月には新しいアルバム「沸点」が発売され、収録した新曲をリストに加えたコンサートを全国で展開しています。


連携事業(みやこ町歴史民俗博物館)

【綴り方教師が愛した「河童(かっぱ)たち」展】
 開催期間 令和4年8月2日(火)〜9月18日(日)
 以下、博物館だよりNo.189より企画展の説明文
 故中尾廣治氏(なかお ひろはる/1928〜1991)は「綴り方(つづりかた/作文)」教育による子どもたちの成長を願った京築地域の一小学校教師です。その活動成果は、同教育に関する豊富な実践や著作、ことに旧犀川町立鐙畑小における「広島の語り部・福田安次(ふくだ やすじ)さんとの交流」、同(現みやこ町立)犀川小への「被爆エノキ」の記念植樹等として結実し、今なおその事績や人柄が慕われています。
 一方で氏は実践対象の子どもたちにその姿を重ねたのか、愛嬌ある妖怪として知られる「河童(かっぱ)」のコレクターで、様々な素材の河童の人形や工芸品・書籍等の資料を800点近く収集していました。これらは昨年当館に寄贈されましたが、見るものを「ほっこり」させる大変ユニークな資料です。  このたびその一部を、氏が生涯取り組んだ綴り方教育の資料とともにご紹介いたします。子どもと地域と平和を愛した綴り方教師の心温まる遺産をご覧下さい。
 

連携事業(みやこ町中央図書館)

【ギャラリー特別展示「戦争を語り継ぐ」】
 開催期間 令和4年7月29日(金)〜8月24日(水)
 以下、ふくろうの森通信8月号より企画展の説明文
 ヒロシマの被爆者福田安次さんと旧鐙畑小学校の子どもたちとの交流の中で贈られた「エノキの木」が、現在犀川小学校に受け継がれています。 今年、犀川小学校では「折り鶴が運んだ「平和の木」植樹25周年記念行事」が行われることになりました。 図書館でも「エノキの木」が贈られた経緯や福田さんとの交流の記録をまとめた資料や、戦争に関する図書の展示を行っています。