平和の木二世たち(福岡県京築地区)

福岡県京築地方には、被爆エノキ2世が育つ場所が2つあります。
以下、紹介します。

築城町立寒田小学校(閉校)







 この木は、みやこ町のとなり、築上町の寒田小学校跡地にあります。基町小学校や犀川小学校の「平和の木」の兄弟にあたる木です。 平成(1993)年3月、卒業記念樹として植樹されました。
 きっかけとなったのは、昭和63(1988)年5月広島への修学旅行です。 寒田小学校は基町小学校児童会と交流会を開きましたが、その時に朽ち果てた基町のエノキの木が切られてしまう計画があることを知りました。驚いた6年生は学校にもどると、全校で「被爆エノキを切らないで」という作文やポスターを作り、広島市長に届けました。
 この取組は新聞で大きく取り上げられ、保存活動が広がるきっかけとなったそうです。 それ以来、寒田小学校では2年に1度広島への修学旅行で、基町のエノキを訪れ、平和への誓いを新たにしてきました。
 この寒田小の取組を知った福田安次さんから2世の木を育ててみませんかとお話があり、寒田小学校に送られることになりました。
 ただ、残念なことに寒田小学校は平成16(2004)年に閉校となり、エノキの木は今、人知れずひっそりと枝葉を伸ばしています。


 寒田小と広島・基町小の交流の様子は、長崎源之助さんの『平和の木』童心社 に記載されています。
 この木から生まれた三世の木は、旧寒田小学校職員の手で大切に育てられていましたが、福田さんの依頼を受けて、長崎源之助さんの母校(横浜市立井土ヶ谷小学校)へ植樹されました。
このことは、広報ちくじょう平成21(2009)年3月号で取り上げられました(記事はこちら)。
また、広報ちくじょう令和5年2月号でも植樹に至るストーリーが掲載されました。(記事はこちら)。

大池公園(築上郡上毛町)







 被爆樹木二世は上毛町(こうげまち)の大池(おおいけ)公園にもあります。令和元(2017)年9月21日(世界平和の日)に広島市長、長崎市長も招待され、植樹されました。
 なぜ、上毛町なのかというと、上毛町が広島市と長崎市を直線で結んだ中間地点だからです。これは広島の白島中町(はくしまなかまち)で被爆した建築家の錦織 亮雄(にしこりあきお)さんの発案で、錦織さんの思いを聞いた上毛町が平和への願いを世界に発信する場所となることを決めたそうです。
 上毛町は大池公園の一部を「広島の丘」「長崎の丘」と名付け、それぞれの場所に被爆樹木2世たち6本を植樹しました。
 広島の丘に植樹されたエノキは、国泰寺(こくたいじ)の境内(けいだい)で焼け残った根元から新芽が生え、成長したものです。
 長崎の丘のクスノキは被爆樹木として有名な山王神社の大楠の種から発芽したものです。
 令和4(2022)年の8月6日、8月9日にもこの場所で献花式が行われました。被爆地以外の場所で、こうして平和に向けて取り組むことは大事なことだと思いました。

平和の木二世たち(県外)

長崎源之助追悼展実行委員会さんからいただいた情報によると、「平和の木」二世は22本あり、エノキ一世(ひろしまのエノキ)跡地以外に植樹されているのは全国に16本(福岡県は、寒田小と犀川小の2本)ということです。